2023/1/17追記。
あじかんの季刊誌2023年冬号表紙はVegan料理。内容はアニマルウェルフェアにも言及。
http://helpanimals.jugem.jp/?eid=449
海外の動向、日本の株主への対応に意識を向けている企業だと感じます。
養鶏場で働いていた方が、去年あじかんの株主総会でアニマルウェルフェアについて質問していました。詳細は文末ご参照ください。とても嬉しいです。
あじかんは、業務用玉子焼では国内トップクラスのシェアで、卵焼き、干瓢・椎茸、かまぼこ、冷凍食品、焙煎ごぼう茶などの製造販売を行う会社です。
あじかんの季刊誌「膳」2023年冬号。アニマルウェルフェア、動物性食材なしの話題がずらりとなっています。
まず表紙。動物性の食材を使わずに構成しているとのこと。
ページ2に以下説明があります。
「大豆タンパクのソーセージと水切り豆乳ヨーグルトと干し柿のパフェ、大豆ミートローフのバーガー、米粉カボチャパン、スプラウト、ミックスビーンズとトマトのサラダ、黒豆煮。肉や魚、卵など動物性の食材を使わずに構成しています。」
そして<企業からのメッセージ(ページ8)>には、ケージフリー、アニマルウェルフェアにふれています。
海外ではアニマルウェルフェアが日本より進んでおり、ケージフリーの卵しか扱わない規則の地域もある。こういう市場にいかに対応していくかが課題と書かれています。
あじかんには、今後、Veganでも食べられる商品をより多く取り扱ってほしいと願います。
季刊誌 2023年冬号(pdf 全11ページ)ぜひご覧ください。
https://www.ahjikan.co.jp/zen/pdf/zen2023wi.pdf
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2023/6/29
株式会社あじかん(業務用玉子焼では国内トップクラスのシェア)の株主総会での、アニマルウェルフェアについての質問と回答
株式会社あじかんの株主総会に行かれた養鶏場で働いていた方から共有していただきました。
あじかんは、業務用玉子焼では国内トップクラスのシェアです。
https://www.ahjikan.co.jp/about/business_01.html
質問:
今月初めに経済協力開発機構(OECD)が、企業に対して家畜の福祉を尊重するビジネスを加速させるよう求めるガイドラインを発表しました。(※文末参照)
それで、今日は畜産動物の福祉、アニマルウェルフェアについて質問させていただきたいと思います。
御社では鶏卵をたくさん調達されていると思います。
実は私は卵の養鶏場で以前働いていまして、そこは日本では一般的な、鶏を檻の中に閉じ込めて飼育するケージ飼育でした。鶏は羽を広げることもできないし、体を伸ばすこともできない、一羽当たり20センチ四方くらいしかないところで飼育されていました。
鶏が習性上必要とする巣や砂場や止まり木もありません。砂がないのに金網の床の上に体を擦り付けて砂浴びの真似事をし、巣がないので毎日巣を探して鳴き続けていました。巣の中で卵を見たいというのは本能が求めるものですが、と殺されるまでの一年半かなえることができません。こういうケージ飼育というのは日本ではまだ一般的ですが、私はとても残酷だと思っています。
幸い最近では、国際的に、鶏のケージ飼育はやめていこうという方向になってまして、世界中で2500の企業がケージ飼育された卵の調達を止めることを決定しています。国内でも給食サービスの会社が内閣府にケージを使用しない平飼いの卵のメニューを提供したり、コンパスフードジャパンさんが2025年までに調達する卵を全部ケージフリーにしますと発表されています。
そこで御社に質問ですが、調達される卵について、ケージフリーにしようという取り組みがあるかどうかと、もしなければ今後予定があるかどうかをお聞かせください。
回答:
担当役員(海外事業担当)玉井氏より回答
「取り組みについて研究には入っています。実は海外が先行しており、特に先進国であるヨーロッパ諸国やアメリカの一部の州、代表的なものはカリフォルニア州ではテーブルエッグと呼ばれる市販の卵について法規制の中でケージフリー卵しか販売できないという動きが世界的に広まっているところです。
いまのところ卵の加工食品についての法規制はないという状況。ただ海外の一部のスーパーマーケット、外食等は日本国内においてもわれわれにケージフリー卵での加工食品の製造ということでの研究依頼が来ている。
ただ日本国内ではまだ残酷だと言われる90パーセント以上が残酷だと言われるケージ卵が占めているということで、現在は原材料の調達が困難であると考えている。
ただ将来的にはケージフリー卵を原料とした加工食品の製造ということを継続して研究を重ねていきたい。今は確約できるものではないが、その取り組みは二年くらい前から進めている。」
考察:
すでにケージフリーについての研究が行われているとのこと、最初意外に感じました。
しかし考えてみれば、あじかんは自社製品を海外へ輸出しており、「アメリカにおける玉子焼のシェアは、おそらくNO.1です」「アメリカの和食関係者にとって「玉子焼はあじかんから買うもの」という認識が広がっています。」と自ら言っている https://www.ahjikan.com/kaigaijigyo/ くらいなので、ケージフリーへの取り組みは無視できないのでしょう。
回答は、海外事業担当の方ということで、結局のところ外圧なのでしょうか。
あじかんはヴィ―ガンや代替食品への取り組みもあるようです。https://www.ahjikan.com/kaigaijigyo/
なお回答にある「法規制はテーブルエッグのみ」について、それはそうなのだけれど、企業の取り組みとしては殻付き卵だけでなく液卵、加工品も含めてケージフリーへという近年の動きがある。コンパスグループも殻付きと液卵、加工品すべてでケージフリーに取り組んでいます。https://www.compassioninfoodbusiness.com/our-news/2020/10/compassion-launches-first-global-eggtrack-report
※OECDのガイドライン=OECD多国籍企業行動指針について:
質問にあるOECDガイドラインはOECD多国籍企業行動指針のことであり、OECD多国籍企業行動指針 <第4章 環境>の最終段落に動物福祉について言及があります。 PDFのP40
https://www.oecd-ilibrary.org/deliver/81f92357-en.pdf?itemId=%2Fcontent%2Fpublication%2F81f92357-en&mimeType=pdf
第一生命経済研究所 田村氏の記事より引用します。
環境分野で検討されている改訂
環境分野では、企業のDD責任が明記され、DDすべき課題として「生物多様性・資源エネルギーの過剰消費・廃棄物処理・アニマルウェルフェア」等を例示することが提案されている。生物多様性やエネルギー消費といった国際的な議論が進んでいる分野以外の幅広い課題が例示されている点に注意が必要である。
例えば、アニマルウェルフェアとは「低ストレスで健康的な生活ができる飼育方法を目指す畜産の在り方」(注11)とされる。日本ではまだ浸透していない概念だが、国際的にはESG投資やサスティナビリティ開示の議論の中で注目が集まっている(注12)。
全文は下記で。
参考サイト:OECD多国籍企業行動指針 第一生命経済研究所
https://www.dlri.co.jp/report/ld/250025.html
ガイドライン該当部分の翻訳:
企業は、世界動物衛生機関(WOAH)陸上規程に沿った動物福祉基準を尊重すべきである。動物が健康で、快適で、十分な栄養を与えられ、安全で、痛み、恐怖、苦痛などの不快な状態に苦しんでおらず、身体的および精神的状態にとって重要な行動を表現できる場合、その動物は良好な福祉を経験する。
良好な動物福祉には、疾病予防と適切な獣医学的ケア、シェルター、管理、栄養、刺激的で安全な環境、人道的な取り扱い、人道的な屠殺または殺処分が必要である。さらに、企業は、関連国際機関が策定した生きた動物の輸送に関するガイダンスを遵守すべきである。
原文:
OECD Guidelines for Multinational Enterprises on Responsible Business Conduct
Enterprises should respect animal welfare standards that are aligned with the World Organisation for Animal Health (WOAH) Terrestrial Code. An animal experiences good welfare if the animal is healthy, comfortable, well nourished, safe, is not suffering from unpleasant states such as pain, fear and distress, and is able to express behaviours that are important for its physical and mental state.
Good animal welfare requires disease prevention and appropriate veterinary care, shelter, management and nutrition, a stimulating and safe environment, humane handling and humane slaughter or killing. In addition, enterprises should adhere to guidance for the transport of live animals developed by relevant international organisations.
https://www.oecd-ilibrary.org/finance-and-investment/oecd-guidelines-for-multinational-enterprises-on-responsible-business-conduct_81f92357-en
こちらも併せてご覧ください。
食肉企業各社 株主総会での株主からの質問への回答 2023年
・日本最大級の黒豚農場(国産黒豚生産数の約15%の生産) キリシマドリームファーム。親会社林兼産業の株主総会にて、妊娠ストールについての質問と回答
・丸紅 株主総会 アニマルウェルフェアについての質問と回答
・株式会社イズミ 株主総会 アニマルウェルフェアについての質問と回答
・キューピー 株主総会 アニマルウェルフェアについての質問と回答
2022年の株主総会での質問と回答はこちらをご覧ください。⇒ 2022年株主総会
PETAアジアによる日本の畜産現場の映像
2023/6/24 丸紅子会社 ウェルファムフーズ養鶏場の現実
2023/6/24 日本ケンタッキーの仕入れ先の養鶏場の現実
2023/3/9 日本の家畜たち ブログのほうでまとめましたので、ぜひご覧ください。
2021/9/29 養豚場 日本ハムでの豚の扱いはこちらをクリック
2021/6/18 養鶏場 ミヤポーでの鶏の扱い詳細はこちらをクリック
2021/5/16 日本最大手 鶏卵企業イセ食品での鶏の扱い詳細はこちらをクリック。